Baseball Column

戦力バランスを考えた戦力補強(前編) [by pacificnavi]

戦力バランスを考えた戦力補強(前編) [by pacificnavi]

2003.11.9記

FA権利行使を絡めたオフの戦力補強のあれこれ。実績を引き下げ自分を売り込む選手、是非欲しいと手を挙げる球団に引き止める球団・・。選手としての商品価値を巡って激しい争奪戦が繰り広げられる。今やドラフト会議と並ぶオフの恒例行事となったが、球団事情によりチームバランスに偏りが出てきてしまっているのが現状だ。強いところに戦力が集まり、弱いところには戦力空洞化が起こる・・。企業でいう独占禁止法が平然と行われているのがプロ野球という世界だ。

通常、戦力補強とは弱いところを補うことが基本ではないかと考える。当然、長いシーズンを乗り切るためには強いポジションの非常事態に備えた補強も必要である。ただこの場合はAをレギュラークラスとして、戦力A→戦力B、悪くても戦力C埋めれるような構成で事足りるのではないだろうか。よく“層が厚い”という言葉を耳にする。これは戦力Aばかりで構成されたチームを指すのではない。要はバランス良く層が形勢されているかどうかという問題である。野球はHRだけでは勝てないし、150km/hだけでも抑えられない。だから巨人のように長距離砲をベンチに多く抱え込んだとしても場面によっては必要ない駒となってしまうのだ。

戦力補強で見落としがちなのはディフェンス面の強化である。“守り抜く野球”は一見地味で醍醐味がない。だから球団側はプロなら魅せる野球、ファンを魅了し観客動員数を少しでも伸ばそうと戦力構成に着手してしまう。これが野球素人にありがちな甘い考え方である。指揮官サイドからすれば一見地味でも、やはり走・攻・守揃った選手を一番望むはずだ。アジア選手権でも宮本、谷、福留といった守備力が展開を優位にした。それでいて状況に応じたバッティングも出来る・・。こういった選手は少ないかもしれないが、要素としてチームになくてはならない存在である。“攻撃は最大の防御”という言葉もあるが、これは攻撃的な守備力という見方をしなければならない。大事に行こうとすれば一瞬躊躇してしまい紙一重なプレーは生まれない。ファインプレーは攻撃的な守備からしか得られないのだ。ただ厄介なのはこういったプレーは記憶には残ったとしても、“記録”として残らない部分ということである。戦力補強をする時にはやはり目安となるなんらかの数値を当てにするもの。そうなると、過去の実績、すなわち記録として残っている打率やHR数、打点、得点圏、長打率・・などオフェンス面での評価が中心になってしまうのだ。ディフェンス面は漠然とした“印象”で評価され比重として軽くなってしまう。こういう記録として残る数値に魅力を感じるフロント側・・そうやって戦力補強、選手集めを行うと戦力バランスに微妙なズレが生じてしまうのだ。

中日は元巨人の川相選手の入団を発表した。これは画期的なことである。いわゆる“守備の人”、“バンド職人”川相を戦力としてだけでなく、若手への影響力も考慮した補強である。チームの教材として落合監督は川相の起用法を考えるだろう。確かに守るだけでは試合に勝てない。相手より多く得点するには攻撃面の補強は必要である。しかし攻撃面の中心はHRなどの長打ではなく、機動力を絡めたチームとしての“繋がり”が鍵を握る。今季リーグ優勝した阪神・ダイエーはまさしく“打線の繋がり”で他チームを圧倒した。主役がかぶるようなチーム構成では“繋がり”が保てない。いかに役者を揃えるか?にあると思う。主役は2人以上になれば、いろんな場面で“プライド”という喧嘩が生じてしまう。これではチームとしての機能が果たせない。

以上のことから戦力補強にはバランス感覚を優先したものでなくてはならない。戦力が先ではなく、戦略→戦術→必要戦力という段階を追った補強、選手育成によりチームは強くなっていくもの。近年では黄金期を築いた西武ライオンズが走・攻・守バランスの整ったチーム構成だったように思う。

→後編

by pacificnavi

Last Update : 2004/03/03 09:16